9月
2016
クィアという言葉は聞いたことがある、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論に興味がある、もう少し詳しく知りたいけれども入り口が見つからない。
そういう方に向けたクィア理論入門公開連続講座、この秋で7年目を迎えます。
今年の講座のテーマは、「クィアな読み」です。クィアに世界を読み解くことが、なぜ必要だったのか。クィアに世界を想像することが、クィアに世界を創造することと、どのようにつながってきたのか。ことばをめぐるフェミニズムの挑戦からAIDSポリティクスを経て、新しい世界のそうぞうの試みとしてのクィア理論を考えます。
皆様の御参加をお待ち申し上げます。
(クィア理論入門公開連続講座の概要と過去の公開講座のテーマとについては、こちらを御覧下さい。)
クィアに世界をそうぞうするために—解釈の実践としてのクィア理論
講師:ヴューラー シュテファン(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)
日時:2016年11月9日〜2017年1月18日 水曜日19:30〜21:00 (参加費、事前申込不要)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4Fコラボレーションルーム1
対象:10代後半以上
11/09 イントロダクション1:クィア、クィア理論とその歴史的条件
11/23 イントロダクション2:クィア批評とその理論的基礎
12/07 歴史と言葉は誰のもの?正典の問題とエクリチュール・フェミニン
12/21 クローゼットの認識論と視覚性のアンビヴァレンス
01/11 パフォーマティヴィティと表現の暴力性
01/18 パロディ、フェティシズム、そして草間彌生
今年度のポスター。PDF版はこちらです→ 2016年度クィア講座ポスター
今回は報告者二人の特別版です!
2016年2月7日(日)13:30~17:30 @ 中央大学 駿河台記念館 580号室
(通常より開始時間が早いのでご注意ください)
第一報告者:岸まどか
タイトル:ジャック・ロンドン『野生の呼び声』における「不自然な婚礼」のエクスタシー
概要:「進歩主義時代(the Progressive Era)」とよばれた米国の世紀転換期は、第二十六代大統領セオドア・ルーズベルトの牽引のもと、生と性の徹底管理を旨とするフーコー的な生政治が、戯画的な形で具現化された時代でもあった。進歩主義時代に自らを「狼(Wolf)」と称した作家、ジャック・ロンドンの『野生の呼び声(The Call of the Wild)』の読解を中心に、本発表は種間愛、特にロンドンが「他の動物達の親族関係」と呼んだ種族を超えた親密性が、進歩主義時代が描く進化と強制的異性愛のナラティブを撹乱しようとする様子を考察する。ロンドンの狼への同一化の欲望をジル・ドゥルーズとフェッリクス・ガタリが「不自然な婚礼(unnatural nuptials)」と名指した関係性の文脈から捉え直すことは、作家が進歩主義時代の政治によって「人間」として産出された自己の放棄のなかに見た生政治からの逃走の可能性を、ほのかに照射するかもしれない。
参照テクスト:Jack London, The Call of the Wild
第二報告者:大田美和
タイトル:文学は性暴力の被害者を救えるか?
概要: William Morris のThe Wood beyond the World (1894)はヒーローが魔術を使う二人の女(「女王」と「侍女」)によって未知の世界に誘い出され、試練の末に恋愛を成就し、王権を獲得するロマンスである、とされる。本発表では「侍女」をたびたび襲う言語化されない不安と恐怖に注目して、このロマンスをフェミニズムとクィアな視点から精読してみたい。北欧神話の骨太で健康的な物語という骨格の中に、性暴力の記憶と再生というトピックを、リアリズム小説とは異なる形でいかに忍び込ませたかを解き明かす作業は、暴力的な支配に対する異議申し立てを性の歓びを否定することなく行うという困難に挑戦したブレイク、シェリー、ハーディの系譜の中で、モリスがいかに詩、近代リアリズム小説、ロマンスという異なるジャンルを架橋したかを考える作業にもなるだろう。
参照テクスト:William Morris, The Wood beyond the World (1894)(邦訳名『世界のかなたの森』晶文社)
主催: 中央大学人文科学研究所「性と文化」研究チーム
☆「性と文化」研究チームは、2007年に発足以来、ジェンダー/セクシュアリティ論やクィア理論について、文学研究・表象分析の領域で研究活動を続けています。2013年3月には、研究成果をまとめた論集『愛の技法―クィア・リーディングとは何か』(中央大学出版部)を出版しました。2013年秋より、関心を共有する研究者(大学院生含む)を対象に、具体的なテクストを取り上げて「読みの実践」を検討する連続研究会を開催しています。
会場の都合上、出来るだけ事前に参加希望をメールでお知らせください。ご連絡およびお問い合わせは<queer.reading(あっと)gmail.com>まで。
性的少数者による都市空間、公的空間の利用の歴史を背景として、とりわけ東京での性的少数者をめぐる政治の動きと関連させつつ、マイノリティによる「空間」の創出と利用の政治と、その現在とを考えます。
みなさまのご参加をお待ち申し上げます。
日時:2016年1月24日(日) 14:00-17:30
場所:東京大学駒場キャンパス18号館 4F コラボレーションルーム1
登壇者:
ジョナサン・マーク・ホール(米国Pomona College, Assistant Professor)
いちむらみさこ(アーティスト)
菅野優香(同志社大学准教授)
司会:清水晶子
主催:東京大学大学院博士課程リーディングプログラム「多文化共生・統合人間学プログラム(IHS)」教育プロジェクト5「多文化共生と想像力」
クィアという言葉は聞いたことがある、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論に興味がある、もう少し詳しく知りたいけれども入り口が見つからない。
そういう方に向けたクィア理論入門公開連続講座、この秋で六年目を迎えます。
今年の講座のテーマは、レズビアン、身体、そしてクィアです。広い連帯を目指す側面をも持っていたはずの〈クィア〉からどのような身体が外され、どのような身体が〈クィア〉な連帯を占有してきたのか、レズビアン/女性のからだから出発して、それを探ります。
皆様の御参加をお待ち申し上げます。
(クィア理論入門公開連続講座の概要と過去の公開講座のテーマとについては、こちらを御覧下さい。)
レズビアン・からだ・クィア―連帯の政治を問い直す
講師:佐々木裕子(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)
日時:2015年10月28日〜2016年1月06日 水曜日19:30〜21:00 (参加費、事前申込不要)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4Fコラボレーションルーム1
対象:10代後半以上
10/28 イントロダクション:レズビアンとクィア・ムーブメント
11/11 HIV/AIDSと女のからだ
11/25 身体の(クィアな?)差異
12/09 身体に傷をつける
12/23 瑕疵なき身体と怪物的なもの
1/06 アンハッピー・クィア
今年度のポスター。PDF版はこちらです→ 2015年度クィア講座ポスター