2020年度クィア理論入門公開連続講座

クィアという言葉は聞いたことがある、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論に興味がある、もう少し詳しく知りたいけれども入り口が見つからない。

そういう方たちに向けたクィア理論入門公開連続講座、昨年度はおやすみをしましたが、今年度から第二期に入り、駒場キャンパスSaferSpace(KOSS)の主催で続けることになりました。

今年の講座のテーマは、「女性身体の/と表象」です。表象される客体として存在することを要求され、表象の主体となることを阻まれてきた女性たちが、表象される/としての/から漏れ落ちるような「自分の身体/身体としての自分」とどのように向き合ってきたのか、そしてどのような欲望を育んできたのか。古典的な議論から出発して少年愛カセットに吹き込まれた「声」の背後に立ち上がる身体に向けられる欲望の考察まで、女性、身体、そして表象について改めて考えてみたいと思います。

皆様の御参加をお待ち申し上げます。

(クィア理論入門公開連続講座の概要と過去の公開講座のテーマとについては、こちらを御覧下さい。)

女性身体の/と表象

講師:程 斯(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)

日時:2021年1月14日〜2021年3月25日 木曜日 19:30〜21:00 (参加費不要)

場所:zoom開催(事前申込制)

KOSSのtwitter @koss_ut で公開されるフォームからお申し込みください。連続で受講いただく場合も毎回の申し込みが必要ですのでご注意ください。

対象:10代後半以上

1/14 イントロダクション:女性、身体、そして表象

1/28 女性による女性身体表象の試み:本質的な「女性身体」をめぐって

2/11 身体表象との対峙:同一化と距離

2/25 表象としての身体

3/11 それでも重要な生きられる身体:トランスジェンダー理論から

3/25 彼女たちは何を聴いている:アニメ・キャラクターの身体性と声/優、そして少年愛カセットと女性のセクシュアリティ

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延期になりました→ Feminist/Queer Utopias & Dystopias: Alternative Worlds Imagined Through Non-Normative Desires and Bodies

以下のイベントは、COVID19の感染拡大状況を鑑みまして、開催の延期をいたします。開催は2020年の夏を予定していますが、具体的な日時は未定です。

Due to the COVID-19 situation, the following symposium is postponed till the summer 2020.

概要:   

TVドラマや映画など、近年のポピュラー・カルチャーにおいて、クィアなもしくはフェミニズム的な表象に特徴付けられた作品が増えている。興味深いことに、それらの表象は、ユートピアまたはディストピアという、オルタナティブ・ワールドが舞台であることが多い。のみならず、クィアな表象は、ディストピア的絶望ではなく、どちらかというとユートピア的希望の在り処として提示されがちであるのに対し、フェミニズム的な表象は、ディストピア的な設定が多い。前者に関しては『センス8』(2015-2018)や『ブラック・ミラー』(2011-)の「サン・ジュニペロ」(2016)と「ストライキング・ヴァイパーズ」というエピソード(2019)が、後者に関しては『侍女の物語』(2017-)が例として挙げられよう。

この二つの傾向は、私たちにいくつか重要な問題を突きつける。まず、クィアなものをユートピア的に表象することは、市場を意識したイメージ戦略あるいはポリティカル・コレクトネスの結果にすぎないのか?それとも、クィアなもののユートピア的な表象は、オルタナティヴな、より良い未来を想像するための新たな方法を私たちに提供するのか?そうであれば、どのように?そして、誰のために?また、フェミニスト・ディストピアの表象は、現在におけるインターセクショナルなフェミニスト政治とどのように対応しているのか?これらの論点を念頭に置きながら、このシンポジウムでは、近年のポピュラー・フィクションにおいて、クィアなもしくはフェミニズム的な視点がいかにユートピアまたはディストピア的想像力と交差し、重なり合うかについて考察する。

Recent years have been witnessing an increase in the number of popular cultural works that present themselves as feminist or queer. Curiously enough, many of these works are set in alternative utopian or dystopian worlds. Even more interesting is the fact that queer and feminist representations in these genres seem to be respectively coagulating around two separate poles: queer representations tend to be the locus of utopian hope, rather than dystopian despair, as seen for instance in Sense8 (2015-2018), or the two Black Mirror episodes “San Junipero” (2016) and “Striking Viper” (2019); while representations of feminist issues within alternative worlds tend to be set in dystopian rather than utopian frameworks, with The Handmaid’s Tale (2017-) being a prominent example. 

This raises some important questions: Is the inclusion of queer issues as utopian horizon merely the result of market-oriented image politics and political correctness? Or do these utopian representations of queer issues offer us new ways of imagining alternative, better futures? If so, how? And for whom? How do dystopian representations of feminist issues correspond to the present reality of intersectional feminist politics? Addressing these questions, this symposium aims to critically reflect on how feminist/queer perspectives intersect with utopian and dystopian imagination in recent works of popular fiction.

キーノート講演:   ニシャント・シャハーニ(ワシントン州立大学)

登壇者:       

生駒夏美(国際基督教大学)         

中村麻美(立教大学)

ヴューラー・シュテファン(東京大学)             

清水晶子(東京大学)

スケジュール:           

13:00-13:10                開会挨拶 (中村麻美、ヴューラー・シュテファン)

13:10-14:30            基調講演

ニシャント・シャハーニ 「もう一つの世界を感知する−ディストピア的現在を通しての唯物論的ユートピア批判」

14:30-14:45                休憩

14:45-16:00                研究報告

生駒夏美 「『フランケンシュタイン』から『侍女の物語』まで——再生産とフェミニスト・ディストピア」

中村麻美 「『ブラックミラー』「サン・ジュニペロ」(2016年)におけるクィア・ノスタルジア」

ヴューラー・シュテファン「ジェンダー化された身体の超越?笙野頼子『ウラミズモ奴隷選挙』のユートピア的地平線を問い直す」

16:00-16:20                休憩

16:20-17:30                ラウンド・テーブル

言語:                         英語(同時通訳あり)

日時:     2020年 3月 8日(日曜日)13:00-17:30

会場:                    国際基督教大学、ダイアログハウス2F、国際会議室

主催:                   

東京大学大学院総合文化研究科 表象文化論研究室 (科研費研究番号 No. 19H01205; No. 16K13134)

国際基督教大学ジェンダー研究センター

企画:                中村麻美、ヴューラー・シュテファン

ポスターPDF版はこちら→ https://bit.ly/2wkjXvm

English Poster (PDF) → https://bit.ly/2OX7SCL

関連セミナー

シンポジウム前日3/7(土曜日)午後に、シンポジウムの基調講演者であるシャハーニ氏にご著書の_Queer Retrosexualities: The Politics of Reparative Return_ について、クローズドのセミナーでお話いただきます(会場は駒場です)。

こちらはシンポジウムテーマであるユートピア/ディストピアに直接関連するというよりは、クィアな過去とどのように関わっていくのかを論じるものになります。使用言語は英語のみ、同時通訳は入りません。

こちらは参加者を確定したセミナー形式ですので、参加ご希望の方は私までご連絡ください。

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トランスジェンダーが問うてきたこと:身体・人種・アイデンティティ

お茶大は2020年度からトランスジェン ダー女性の入学受け入れを表明している。それをきっかけに日本でもトランス女性をめぐる激しい議論が巻き起こった。トランスジェンダーが可視化されることにより、 従来の「女性」ジェンダー、セックスの考え方に画期的な変容の可能性がもたらされると同時に、身体、アイデンティティ、セクシュアリティをめぐる複雑なパワー関係も浮き彫りになりつつある。本国際シンポ ジウムはトランスジェンダー研究の第一線 で活躍している研究者が集まり、トランス ジェンダーの歴史や論争が突きつけてきた課題を議論する。

基調講演:スーザン・ストライカー(イエール大学)

“How “Transgender” Travels:Thinking About Gender Variance in a Global Context”

パネリスト

清水晶子(東京大学) “Imported Hatred?: Japan’s Transphobic Feminism in Transnational Context”

井谷聡子(関西大学) “On the ‘Feminist’ Discourse of Trans-exclusion from Sport”

ナエル・バンジー(トレント大学、カナダ) “Troubling Trans: Necropolitics, Trans Bodies, and Genealogies of Governance”

総合司会  申琪榮(お茶の水女子大学) 

パネル司会:石丸径一郎(お茶の水女子大学)

挨拶: 石井クンツ昌子(お茶の水女子大学)

日時: 2019年12月15日(日) 14:00-17:30

会場:お茶の水女子大学共通講義棟1号館304室

要事前申込:同時通訳あり:定員120名

主催:お茶の水女子大学ジェンダー研究所(グローバル女性リーダー育成研究機構) http://www2.igs.ocha.ac.jp 

共催:東京大学清水晶子研究室、科研費 挑戦的萌芽研究「性的少数者の政治と多様な諸身体の連帯および共存をめぐる現状分析と理論構築」

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2017年クィア理論入門公開連続講座

クィアという言葉は聞いたことがある、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論に興味がある、もう少し詳しく知りたいけれども入り口が見つからない。

そういう方たちに向けたクィア理論入門公開連続講座、なんと8年目になります。

今年の講座のテーマは、「視覚表象とクィア」です。規範や普遍性に対する根本的な異議申し立てを志向するクィアのアプローチは、「目に見えるもの」やそれを「見るということ」と、どのように関わるのでしょうか。それはまた、「見るということ」を巡る伝統的な「美術」や「美術史」の理解に挑戦を続けてきたフェミニストたちの営みと、どのように繋がっているのでしょうか。

皆様の御参加をお待ち申し上げます。

(クィア理論入門公開連続講座の概要と過去の公開講座のテーマとについては、こちらを御覧下さい。)

クィア理論で読み解く美術史—イメージの理論と実践—

講師:半田ゆり(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)

日時:2017年10月25日〜2018年1月10日 水曜日19:30〜21:00 (参加費、事前申込不要)

場所:東京大学駒場キャンパス18号館4Fコラボレーションルーム1

対象:10代後半以上

10/25 イントロダクション:クィア理論とは何か

11/08 フェミニズム美術史による美術史の「解体」

11/22 主体・欲望・表象:イメージと精神分析

12/06 有徴・可視:エイズ危機における可視性の戦略、その射程

12/20 様式(スタイル)としてのクィアとその商業的回収:90年代以降の展開

01/10 「女性アーチスト」が明らかにするもの:発掘し、告発し、連帯する

今年度のポスター。PDF版はこちらです→ 2017年度公開講座ポスター

 

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公開研究会『道徳的保守と性の政治の20年—LGBTブームからバックラッシュを再考する』

経済系メディアの特集を皮切りとする2010年代日本での「LGBTブーム」では、性的少数者の政治とマーケットの要請との関わり方が、しばしば問題になってきました。一方で「ダイバーシティ」や「ピンク・マネー」などのもたらす経済的利得を押し出して性的少数者への理解と受容を高めようとする戦略があり、他方で「市場の論理」への過剰な期待と依拠とは性的少数者の中にいわば「特権層」を生み出すに過ぎないという批判がある、というこの対立は、今世紀米国を始めとする世界各地の性的少数者の運動に見られるものです。
その裏で、性の政治にしばしば大きな影響力を持ってきた道徳的保守派の存在は、2010年代の「ブーム」においてあまり語られることがなかったように思われます。けれども、「伝統的」家族形態とそれを支える異性愛的ジェンダー規範との擁護を掲げる道徳的保守派の主張との対立や交渉は、女性運動やフェミニズム、ゲイ・リブやレズビアンの運動などの歴史において、常に重要な一面であり続けてきました。
トランプ政権の成立によって米国における性的少数者の政治が再び道徳的(そして宗教的)保守派との対立の色合いを強め、日本国内でも「伝統的」家族主義の強化を目指す政策が次々と打ち出されつつある現在、私たちは改めて、日本における性の政治が道徳的保守派の主張とどのような関係を持ってきたのかを、確認しておく必要があるのではないでしょうか。
本研究会は、道徳的保守の主張が性の政治に対して明確に大きな打撃を与えたもっとも近年の例として、今世紀初頭の「バックラッシュ」を再び見直すところから出発します。バックラッシュにおいて性的少数者はどのように位置付けられ、その位置付けは「バックラッシュ」と「フェミニズム」の双方にどのような効果をもたらし、そのことは性的少数者の権利保障にどのような影響を及ぼしたのでしょう。そして、当時の政治的、社会的状況から、現在の私たちは何を学ぶことができるのでしょう。

 

皆様どうぞお越し下さいませ。

 

日時:2017年8月5日(土) 14:00-17:30

場所:東京大学駒場キャンパス18号館 コラボレーションルーム1

(建物内エレベーター有。1階にユニバーサルトイレ有。)

登壇者:
飯野由里子(東京大学、クィア研究/ディスアビリティ研究)
遠藤まめた(「やっぱ愛ダホ!idaho-net」呼びかけ人代表)
山口智美(モンタナ州立大学、フェミニズム研究)

司会:清水晶子(東京大学、フェミニズム/クィア研究)

予約・参加費不要

科研費挑戦的萌芽研究「性的少数者の政治と多様な諸身体の連帯及び共存をめぐる現状分析と理論構築」研究事業

 

ポスターはこちらからPDF版がダウンロードできます。

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クィア・スペースとその行方―トランプ当選と2020の間に―

岡山大の光本順先生にお声をかけていただきまして、お話をしてまいります。

ご都合の合う方がいらっしゃいましたらどうぞお越しくださいませ。

 

「クィア・スペースとその行方―トランプ当選と2020の間に―

日時 平成29年2月10日(金曜日) 17時00分~18時30分
会場 岡山大学津島キャンパス 文法経済学部1号館2階 文学部会議室
内容
・講演 1時間強
 講演者 清水 晶子先生 東京大学大学院総合文化研究科・准教授
             (フェミニズム/クィア理論)
・質疑応答

 

ジェンダーセミナー2_チラシ

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