10月
2016
性表現とフェミニズム:シラバス
授業概要:
性表現を巡る英語圏フェミニズムの議論を概観する。制作及び鑑賞における視線の非対称なジェンダー配分をめぐる美術批評、映画理論の古典的論文を出発点として、とりわけ80年代のフェミニストポルノ論争にかかわる諸論文を中心に学ぶ予定。
授業計画
9/28 イントロダクション:ジョン・バージャー『イメージ—視覚とメディア』伊藤俊治訳、ちくま学芸文庫、2013年(Berger, John. Ways of Seeing. Penguin Books, 1972.)
10/5 Nochlin, Linda. “Why Have There been No Great Women Artists?” Art News 69 (January 1971). 2015年に再掲されたこちらを使用: http://www.artnews.com/2015/05/30/why-have-there-been-no-great-women-artists/
10/12 グリセルダ・ポロック『視線と差異—フェミニズムで読む美術史』萩原弘子訳、新水社、1998年(Pollock, Griselda. Vision and Difference: Feminism, Femininity and the Histories of Art. Routledge. 1988.)
10/19 ローラ・マルヴィ「視覚的快楽と物語映画」斎藤綾子訳(Mulvey, Laura. “Visual Pleasure and Narrative Cinema”. Screen (1975) 16 (3): 6-18.) 『新映画理論集成① 歴史/人種/ジェンダー』岩本憲児、武田潔、斎藤綾子編、フィルムアート社、1998年、126-141ページ。
10/26 Doane, Mary Ann. “Film and the Masquerade: Theorizing the Female Spectator”. Amelia Jones ed. The Feminism and Visual Culture Reader. Second edition. Routledge, 2010. pp. 73-84. (Originally published in Screen 23:3-4.)
11/2 MacKinnon, Catharine A. Only Words. Harvard University Press, 1993. Chapter 1.
11/9 Dworkin, Andrea. “Against the Male Flood: Censorship, Pornography, and Equality”. Drusilla Cornell ed. Feminism and Pornography. Oxford University Press, 2000. pp. 19-38.
11/23 Duggan, Lisa and Hunter, Nan D. Sex Wars: Sexual Dissent and Political Culture (10th Anniversary Edition). Routledge, 2006. Chapter 3.
11/30 Rubin, Gayle. “Thinking Sex: Notes for a Radical Theory of the Politics of Sexuality”. Henry Abelove, Michèle Aina Barale, and David M. Halperin eds. The Lesbian and Gay Studies Reader. Routledge, 1993, pp.3-44. (Originally published in Carole S. Vance, ed., Pleasure and Danger: Exploring Female Sexuality, 1984.)
12/7 予備週(リーディングが予定通りなら、学期末レポートテーマ検討)
12/14休講
12/21 Butler, Judith. “The Force of Fantasy: Feminism, Mapplethorpe, and Discursive Excess.” differences 2.2 (1990): pp. 105-125.
1/11 Williams, Linda. Hard Core: Power, Pleasure, and the” Frenzy of the Visible”. Univ of California Press, 1989. Chapter 8.
成績評価:
担当回の報告(30%)、学期末レポート(40%)、および授業中の参加・貢献度(30%)を総合的に判断する。学期末レポート課題は以下の通り:「視覚的な性的表象作品を例に挙げ、授業で扱った論文を最低二本参照しながら、その作品が発表または受容の時代/場所における性の政治にどのようにかかわっているのか、分析しなさい(5000字以内)」
クィアという言葉は聞いたことがある、ジェンダーやセクシュアリティをめぐる議論に興味がある、もう少し詳しく知りたいけれども入り口が見つからない。
そういう方に向けたクィア理論入門公開連続講座、この秋で7年目を迎えます。
今年の講座のテーマは、「クィアな読み」です。クィアに世界を読み解くことが、なぜ必要だったのか。クィアに世界を想像することが、クィアに世界を創造することと、どのようにつながってきたのか。ことばをめぐるフェミニズムの挑戦からAIDSポリティクスを経て、新しい世界のそうぞうの試みとしてのクィア理論を考えます。
皆様の御参加をお待ち申し上げます。
(クィア理論入門公開連続講座の概要と過去の公開講座のテーマとについては、こちらを御覧下さい。)
クィアに世界をそうぞうするために—解釈の実践としてのクィア理論
講師:ヴューラー シュテファン(東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程)
日時:2016年11月9日〜2017年1月18日 水曜日19:30〜21:00 (参加費、事前申込不要)
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4Fコラボレーションルーム1
対象:10代後半以上
11/09 イントロダクション1:クィア、クィア理論とその歴史的条件
11/23 イントロダクション2:クィア批評とその理論的基礎
12/07 歴史と言葉は誰のもの?正典の問題とエクリチュール・フェミニン
12/21 クローゼットの認識論と視覚性のアンビヴァレンス
01/11 パフォーマティヴィティと表現の暴力性
01/18 パロディ、フェティシズム、そして草間彌生
今年度のポスター。PDF版はこちらです→ 2016年度クィア講座ポスター